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人間関係の悩みがなくなる世界
本当の「真理」を知れば、人間関係の悩みはすべて消える


3年目 春:最後の仕事

人事考課の面談が始まりました。

すると、いきなり上司が私をホメまくる発言を連発しました。

人事考課の得点は非常に良い得点をつけてもらっていました。

上司が「で、今後についてだが・・・」と言いました。

いよいよ来たっ! ついにこのときが来たっ! そう思いました。


「まだしばらくウチで、がんばってもらうよ」


へっ? あれっ? そうなんですか・・・。

肩の力が抜けました。

予想と違う展開に、なんだか拍子抜けしました。

しかし、職場が私を頼りきっている今の状態はよくないと思っていました。

とにかく仕事を早く片付けて帰りたかったので、他の人のトラブル解決はすべて私がやっていました。

他の人にやってもらうより、自分でやったほうが早く帰る事ができたからです。

おかげで、他の人にマニュアルにないトラブル解決能力が、全然育っていませんでした。

これは私の責任だと思いました。

これを機会に、自分がいなくても大丈夫な体制を作り上げて、気持ちよく会社を去ることにしよう。

今年こそ合格するんだから、会社を辞めることは確実なんだし。

これは最後の仕事だな。

メインシステムの入れ替えは、試験終了後の7月以降にしよう。

たぶん8月には完成するはずだ。

そして、合格発表後の10月には退職する旨を告げて、年内いっぱいで退職しよう。

仕事のスケジュールは、こんな感じで決まりました。


勉強の方は相変わらず時間の確保に苦しみましたが、成績が上向いていることははっきり分かりました。

答練の成績は、だいたい合格の目安である300番以内に入るようになっていました。

たまには19番という圧倒的な成績をとることもあり、6月の全国模試で40番くらいの成績を取りました。


六法の読み込みで条文の理解度は格段に向上していました。


「合格」を意識し始めました。

今年はいけると思う。

書式に不安はあるものの、去年並みの水準ならたぶん大丈夫だ。

六法を使用しない不登法と商登法には、一抹の不安がありました。

しかし過去問をやりつくしているから大丈夫、と不安を打ち消しました。


この頃、体調が優れませんでした。

去年の同時期と比べると、思うように体が動かないのです。

20代も終盤になると、体力が落ちてくるのかな、と思いました。

去年ほど勉強のペースがあがりません。

しかし、合格の実力はあるのだから体調を維持したほうが良いと思い、
仕事、勉強、体調のバランスを取り続けました。

そうは言っても、バランスを取り続けるのはやはり難しいものです。

無事に本試験の日を迎えられるだろうか? 日々不安との戦いでした。

それでもなんとか、無事に本試験前日の日を迎えることができました。

ここまで来ればもう大丈夫。

あとは本番のみ。

やっと明日で解放される。

そう思いました。


しかし本試験当日、信じられない出来事が起きてしまいました・・・。

3年目 夏:まさかの大失敗

7月6日


本試験当日、やたらと緊張していました。

去年のような「やけっぱっち」の心境ではなく、合格を十分に意識していました。

失敗できない・・・。

そんなことばかり考えていました。


午前の試験が始まりました。

いきなり憲法で難易度の高い推論が出題されましたが、これは答練と全く同じ問題でした。

あっけなくクリアー。

ラッキーでした。

民法は、ずいぶんと判例問題が多いような気がしました。

しかし、どれもこれも六法で勉強済みのものばかり。

商法、刑法も無難に終了しました。

よし、午前中は大丈夫だ。


午後の試験が始まると同時に、書式の問題を斜め読みしました。

これは作戦通りの行動でした。

時間配分を検討するため、書式をとりあえず斜め読みをすることにしていたのです。

「去年並み」なら択一は100分、書式に80分。

「やや難」なら択一90分、書式90分。

「かなり難」なら択一80分、書式100分。

こんな計画を立てていました。

斜め読みの結果「かなり難」と判定しました。

「かなり難」は一番あって欲しくない状況でした。

書式の記載量が多いということは、手が不自由な私には致命傷だったからです。

でも仕方がありません。

全科目で足きりを超えなければならないんだから、 書式が時間切れで書けませんでしたではお話になりません。

こうして、かなりハイペースで択一を仕上げる作戦とりました。


マイナー科目は、順調にこなしていきました。

難易度は、標準と思いました。

続いて不登法択一にはいりました。

すると何が起きてしまったのか???
問題文の意味がうまく読み取れないのです・・・。

決して難易度の高い問題には思えません。

しかしどうしたことか、イマイチ理解できないのです。

とにかく不思議です。

しかし、時間は迫っています。

書式の難しさも、ずっと気になっていました。

はやく、書式に取り掛からねば。

こうして、手ごたえのないまま進みました。


商登法択一も同じく、なんだかしっくりきませんでした。

書式に突入しました。

斜め読みの予想通り、難しく、記載量は多いで大苦戦です。

書式を解きながら、2次択一のことが気になっていました。


あの択一はちょっとまずい気がする。

できれば、書式が済んだら択一に戻って見直しがしたい。

急いで書式を終わらせなければ・・・。


しかし、書式が終了したのは3時58分でした。

2分でも見直しをするぞとすぐに取り掛かりましたが、確認できたのは1問だけでした。


こうして本試験は終了しました。

家に帰って落ち着いて考えてみると、作戦ミスをしたと思えてきました。

あの書式は「かなり難」ではなくて「とてつもなく難」ではないだろうか?

それならば、書式はみんな出来ていないので点数に差がつかなく足切りも低いだろうから、択一勝負になるのでは?

もう少し択一に時間をかけたほうがよかったのでは???

しかし、あの状況でそこまで予想することは不可能なので仕方がなかったのかな・・・。

夜9時になり、インターネット解答速報で答えあわせをしてみました。

結果は、


一次32問、2次23問、書式35点、でした。


・・・。

なんだ、この2次択一の点数低さは・・・。

これじゃ足きりにひっかかってしまう・・・。

考えられない。

去年より悪いなんて。

そんなバカな。

いくら手ごたえがないからといっても、これは何かの間違いじゃないのか?
こんな点数をとるはずがない。

何度も確認しましたが、まちがいなくこの点数でした。

試験中の違和感は、的中していました。

不登法で7問、商登法で4問、供託法で1問失点していたのです。

いつもの自分なら、ありえない失点です。


しかし、不合格は決定的でした・・・。


泣きました・・・。


情けないやらなんやら、わけがわかりません。

もう、どうにも涙が止まりませんでした。

今後、どうしてよいかわかりませんでした。

合格して退職、の予定はもろくも崩れ去りました。

明日は、会社に行かねばなりませでんでした。

予定通り、大掛かりな仕事が私を待っているのです。

やらねばなりません。


そして退職へのカウントダウンをはじめるのかどうか、決断の時は迫っていました。

3年目 秋:そして退職へ

勉強の成績をあげるために、退職する必要性は感じていませんでした。

勉強に関してはいくつか課題を見つけました。

それらは今は解決策が思いつかないが、仕事をしながらでもたぶん解決できると思っていました。

それなら何のための退職なのか???

それは、自分の心と言動を一致させてやる必要性を感じたからです。

自分の心=司法書士。

会社での言動=イエスマン。

人間にとって、心と裏腹の行動をとることはとても苦しいことです。

一致していない場合、人間はその代償を他に求めます。

その代償とは、悪口などのマイナス言葉です。

心にもないお世辞ばかり言う人間は、結局あとから影で悪口を言っているものです。

マイナス言葉を発することができない人間は、自分の心を否定して、自分の行動が正しいと信じるようになります。

不思議なもので、本意でないはずの行動に心が一致させられていくんです。

人間は、形から入っていく動物です。

人間は誰でも、自らの行動を否定することが嫌いです。

後悔しながら生きてる人間は、実は意外と少ないのです。

それは、いろいろな理由をつけて自らの行動を納得させて、最後には心を変えてしまうからです。


確かに、過去の事実は絶対に変えられません。

しかし、心は自分の感情ですから変化が可能です。


未来を切り開く手法としては、とても有効です。

いわゆるポジティブ思考です。

私も、よく使っているように思います。

しかし、使い方を間違えると、不幸な行動を心が肯定してしまうことになります。

私は、会社での自分の行動を、心で否定しなければなりませんでした。

精神力でもって、この不一致の苦しみから踏ん張ってきたつもりでした。

勉強前の私は、

「協調性がない」

「物事をハッキリ言い過ぎる」

といわれており、会社での評価は本当に低かったのです。

ところが、勉強をはじめてからずいぶんと会社の人間に信頼されるようになった気がします。

会社のみんなが、笑顔で声をかけてくれます。

しかし、それは司法書士を目指すようになったから起こったことです。

だからこそ、余計に苦しかった・・・。


精神と行動のギャップは、もう限界に達していました。

本当に限界だと思いました。

システム移管の仕事は、予定通り完了していました。

後輩も、なんとかがんばっていました。

やり残した事は、ないと思いました。

9月下旬の人事考課の面談にて、上司が何かを言おうとしました。

私は先に、言葉を発しました。

「年内で、退職します!」

違う世界に挑戦する、発言の撤回は絶対にない、ということを伝えました。


退職のウワサはあっという間に広まりました。

私は笑顔で「今までありがとうございました」と答えるだけでした・・・。

こうして年内いっぱいで会社を退職することになり、新年からは予備校通いが始まることになりました。

3年目 冬:予備校生活の始まり

秋には、本試験の結果が発表されました。

もちろん私は不合格でしたが、択一2次があと1問正解していれば合格していたことがわかりました。

しかしこのとき私は「運が悪い」という言葉を封印しました。

この言葉を口にしてしまうと、原因追及の気持ちがしぼんでしまうと思ったからです。

ここで運のせいにしてしまっては、次回もあと1問に泣くに違いない。


私は改めて、敗因分析と対処方法を検討しました。

まず、根本的に字がすばやく書けないハンデを打ち消す必要がありました。

あのような書式の記載量を求められては、また敗北する可能性があるからです。

そこで、東急ハンズに行って「ペン」を20種類ほど購入しました。

道具で、少しでもカバーしようとしたわけです。

すると、ボールペンよりもゲルインキペンのほうが、 本試験の紙質には染込みやすく書きやすいことがわかりました。

こうして、ゲルインキペンの中から「最高の1本」をみつけました。

このペンは、抜群の相性でした。

さらに、書式答練をたくさん受けました。

時間内に書ききる訓練を強制的に行うためです。

そしてこの答練受講中に、書式の時間短縮法を発見しました。

事案の検討をするときに、 問題用紙の余白に鉛筆で発生している法律事項を時間軸に並べてすべて書き出すのです。

こうすると、問題文の中の物語がすべて見えてきます。

あとは問題文の指示に従って2件目と3件目の登記を書くだけ、などになります。

今まではわざわざ鉛筆で書き出すことによる時間の浪費を恐れてやってこなかったのですが、やってみると情報がすばやく整理できて、実はかなり時間短縮になることがわかったのです。


不登法と商登法の択一については、情報集約資料として「直前チェック」を使用していました。

多くの合格者が愛用していることを知っていましたが、どうも自分とは相性が悪いように思えました。

そこで思い切って直前チェックをやめて、 基本事項が羅列してあるだけの先例集に切り替えました。

レベルの高いマイナー先例を覚えるよりも、 基本事項の先例を100%モノにして失点を防ぐほうが良いと考えたからです。

こうして、対処法はすべて出揃いました。

あとは毎日やるのみでした。


予備校には、おもしろい子達がたくさんいました。

なかでも一番おもしろかったのは司法書士受験生のH君でした。

このH君は服や靴などのファッションにやたら詳しく、その知識を利用してオークションで利益をあげていました。

そんなんで利益がでるの?とずいぶん疑問に思ったものですが、結構な利益をだしていました。

私も予備校の学費捻出のため、H君をマネしてオークションを始めてみました。

もちろん私にファッションの知識は何もないので、同じ物を売ることは不可能でした。

そこで私は考えました。

予備校の教材なら商品知識があるので、自分にもできるんじゃないかと。

狙いは見事に的中しました。

あっという間に予備校の学費を捻出できてしまったのです。


これには驚きました。

こんな世界もあるのかと・・・。

行動するH君には、自分の学生時代と姿が重なりました。

行動する重みがわかっているかどうかはともかくとして、行動できるのはとても良いことです。

そして変なプライドを持ち合わせていないのも、H君の特徴でした。

知識の弱者をバカにするような姿勢は、これっぽちも見られません。

きっと司法書士になっても、天狗になって威張るようなことはなさそうです。

この子はたぶん伸びる・・・、いや伸びて欲しい、そう思いました。


この頃のH君は、勉強のやり方を良く分かってないようでした。

そこで私は、六法使用法を含めていろいろと勉強を教えてあげるようになりました。

H君からは1日平均3つほどの質問がありました。

例えば、

H君「占有権における有益費償還請求には悪意者のみ期限の許与があるのに、留置権の有益費償還請求に善悪の区別がないのはなぜですか?」

私 「留置権って、他人の物を留置するから留置権なんだよね。他人の物ね。他人の。すると、留置権者が自分で留置しているものを「えっ、実は他人の物なんですか?」と善意を主張することはありえないよね。」

と、毎日こんな感じでした。


そして、この質問攻めは私にとても良い効果をもたらしました。

私が、頭で理解していることを相手にわかるようにと思って言葉を整理して話をすると、 自分の頭の中が整理されていったのです。

こうして、勉強については確実に力をつけていきました。


しかし、私はひとつだけ謎を残したままでした。

去年の本番中に、なぜか問題文がうまく読めなかった件です。

その結果、あまりにイージーな問題で失点をしていました。

緊張という言葉で、片付けてもいいと思えました。

しかし、本番は一発勝負。

同じ失敗は許されません。

必ず答えを、見つけてみせる。

私は、あれこれと対処法を考えていました。

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